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彼女の中の戸惑いの気持ちが、このカナル型のイアフォンからも伝わってくるようです。
私はどうすべきか分かりませんでした。
おそらく彼女も分かっていないのでしょう。
ただそこには2メートル弱の距離があるだけなのに、その距離は越えられない壁なのでしょうか?

沈黙が2人の間に根を下ろし始めた時、私は気付くのです。
彼女といられる時間は長くはないと。
また会うかもしれないけれど、もう会わないかもしれません。
必要のない漠然とした不安が私を包み始めます。
やはり私は彼女が口を開くのを待ち望んでいるのです。

「時は、また、来ます。」
唐突でした。
私は一瞬聞き逃してしまいそうでした。
「あなたが望むかどうかは知りません。然し、私にはあなたに会う理由があります。その事実は今のところ変えられませんし、変えるつもりもありません。」
私は安堵しました。
理由も知らぬまま、私の心はふやかされた凍り豆腐のようにふくらみ染み込みました。

電車は駅に停まる準備を始めます。
緩やかに減速する古びた電車は年老いた猫のように気まぐれです。
でも間違うことはありません。
彼は間違いなくもうすぐ動きを止め、私はそこから導かれるように外に出るでしょう。

この気持ち、名残惜しい。

「良い1日を。」
彼女の最後の言葉です。
私は頷くことでしかその言葉を受け止められませんでした。

久し振りに吸った外の空気は思いのほか気持ちよく、始まったばかりの朝空を見ながら、私はもう明日の天気を考えていたのでした。


第5話に続く
すごくお久しぶりです。
すさまじきほどに日記当番をサボってました。
ごめんなさい。
しかも近畿大会も近いですね。
空気を読めない日記でした。
ごめんなさい。
然しながら、今回の日記は個人的に難解だと思われ。
それを理解してくれるのが弁論班です。よね?

※この物語はフィクションです
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2009.06.13 00:11 | 未分類 | トラックバック(-) | コメント(0) |












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